漆喰で「シックハウス症候群」を予防する!|納得!素晴らしき漆喰の世界‐4 - 【公式】漆喰うま~くヌレール

漆喰で「シックハウス症候群」を予防する!|納得!素晴らしき漆喰の世界‐4

専門家に聞く 漆喰の世界 ①
 

家に入った途端に、目がチカチカ、鼻がむずむず。
なんだか頭も痛い…。

家から離れると、それまでのつらかった症状や違和感が、知らないうちになくなっている。

みなさんの中には、そんな経験をしたことがある方がいるかもしれません。

限定された空間や場所で、身体に悪影響を引き起こす物質が実は存在します。

その名も「ホルムアルデヒド」。


今回は、DIY子といっしょに、ホルムアルデヒドが原因のシックハウス症候群について勉強してみましょう!

 

ホルマリン漬けの汁が、ホルムアルデヒドの素!

「シックハウス症候群」という言葉をニュースで聞いたことがある方も多いと思います。

シックハウス症候群とは、家屋などに使われている建材にシックハウス症候群の原因となる「ホルムアルデヒド」が含まれている場合に引き起こされる症状です。


そもそも、そのホルムアルデヒドとは、どんな物質なのでしょうか?

「ホルムアルデヒドは、ホルマリン漬けの汁に使われる化学物質のことです。腐食を防止する、つまりモノを腐らせない作用があるんですが、細胞に強い刺激をもたらします」と話すのは、近畿大学医学部の東賢一先生。


そんなホルマリン漬けに使われている物質が私たちの暮らしの空間に使われている場合があります。

たとえば、「合板」と呼ばれる建材。

これは、木材を破砕したチップを組み合わせてつくったものですが、一般的な木材と比べ、湿気によるたわみが少ないので床材や柱、テーブルや棚など、実にさまざまな箇所に使われています。

「チップをつなぎ合わせる接着剤の原料に、ホルムアルデヒドが使用される場合があります。

合板が湿気にさらされると、接着剤が分解してホルムアルデヒドが生成しやすくなります。ホルムアルデヒドは常温で気体になるので、すぐにガス状になって出てくるわけです。

気温が高くて湿気が多い時期には、ホルムアルデヒドが出やすくなりますね」と東先生。


高温多湿の夏の日中にホルムアルデヒドの濃度が上がり、夕方になると少なくなる。年間を通しても夏に濃度が高く、冬に下がるという波があり、それが10年以上続くこともあるそう。


それでは、シックハウス症候群が引き起こす症状にはどんなものがあるのでしょうか?具体的にみていきましょう。

 

鼻がかゆい、頭がいたい!さまざなな症状を引き起こすシックハウス症候群

シックハウスというと、まるで家が病んでいるような気もしますが、シックハウス症候群は、“居住に由来するさまざまな健康障害”の総称で、ホルムアルデヒドなどの化学物質が主な原因といわれています。

具体的には以下のとおり。
・目がチカチカする、充血する
・鼻がムズムズする、鼻水が出る
・のどがイガイガする
・めまいや頭痛、吐き気がする など


目や鼻、のどを刺激する粘膜症状や、頭痛や吐き気につながる中枢神経系への症状が多く短い時間で症状が出るのが特徴です。

また、シックハウス症候群は、住宅に使われている建材などが問題になるため、問題のある環境から離れると症状がおさまるという特徴もあります。

「自宅を新築後、目の刺激や頭痛などの症状で部屋に入れなくなったという方からの相談があり、保健所にホルムアルデヒドの濃度を測定してもらったところ、厚生労働省の室内濃度指針値を大きく超える濃度でした。

ご自宅を調べたところ、新しく購入された木製家具が原因である可能性があったため家具を家の外に出していただくと、ホルムアルデヒドの濃度が室内濃度指針値以下に下がりました。しかし、完全に体調が回復するまでには、1年ほどかかっています」。


どんなところに、ホルムアルデヒドが含まれているかわからないため、素人目には判断しにくいですが、体調に変化が現れたら、保健所に相談するのがおすすめです。

 

漆喰の多孔質が、ホルムアルデヒドを「吸着」する

住宅のさまざまな場所に含まれているかもしれないホルムアルデヒドのお話し、少し怖いですよね。

住宅の建材や家具など、どんなところに含まれているのかわからないところや、一般の方々が自衛する術がないのも懸念です。

でも漆喰壁ならば、ホルムアルデヒドによるシックハウス症候群のリスクを軽減できるかもしれません。

「漆喰壁は小さな穴が空いている多孔質構造です。この多孔質が、ホルムアルデヒドも吸着していきます。

以前の記事で、湿気の水分も多孔質が吸着するという調湿性能についてもお話ししましたが、ホルムアルデヒドは水溶性で水に溶けやすいので湿気とともに、ホルムアルデヒドも吸着していくと考えられています」と東先生。


漆喰という自然素材を家屋に選択することで、シックハウス症候群のリスクも防げる可能性があるのです。

東先生はシックハウス症候群を完全に防ぐのは難しいとしながらも、家づくりやDIYで注意できる部分を教えてくれました。

「メーカーも安全性の高いものを提供するというのが原則ですが、材料の中に品質が劣っているものが混じることがあるなど、イレギュラーなことが起こるのは事実だと思います。

でも、家を建てたり家具を選ぶ際に、材料選びを丁寧に行っていくことで、メーカー側にも消費者の意向が伝わりやすいかもしれません。

また、DIYを行う時には、ホルムアルデヒドの発生が少ない『F☆☆☆☆』の星4つを選ぶのがおすすめ。建築素材にFという文字と、星の指数で表記されているのでホームセンターでも見分けがつきます。

漆喰壁のような自然素材を選ぶという選択肢を念頭に、もし体調の変化を感じたら、まずは健所に相談するとよいでしょう」

シックハウス症候群を引き起こす化学物質にはトルエンやキシレン、パラジクロロベンゼンなどもあるが、ホルムアルデヒド被害がもっとも大きい

 

本日のまとめ

□シックハウス症候群とは、居住に由来するさまざまな健康障害の総称で、ホルムアルデヒドなどの化学物質が主な原因といわれている
□シックハウス症候群は、目や鼻、のどへの粘膜症状が多く、問題となっている建物から離れると症状が落ち着く
□漆喰壁の多孔質が、ホルムアルデヒドを吸着する

 

この記事について教えてくれたのは…
近畿大学医学部
環境医学・行動科学教室 
東 賢一 准教授


大学卒業後、積水化学工業株式会社を経て、2007年に京都大学大学院工学研究科を修了。国立保健医療科学院や公益財団ルイ・パストゥール医学研究センターの客員研究員など。

専門は衛生・公衆衛生学、健康リスク評価学、疫学。人を取り巻く環境と、人の健康に対する影響を研究している。新型コロナウィルスと環境に関する研究も。

 
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